イギリスにわたしは何回行ったのか

今週のお題「海外旅行」

大学2年のころ、短期バイト先の女性がかわいくて仲良くなったところ人妻であったということに心を病んだことからわたしの旅は始まる。

いや、実はその前からだ。まず高校2年で初めて青春18きっぷを使って東京から大阪まで行った。楽しいとは思わなかった、とにかくすべてが感慨と後悔に耽るような景色しかわたしの記憶にはない。

大学1年の夏休みには高校時代の友人とバイクで北海道へ。彼は単車だったがわたしは原付のカブだ。よく一緒に行けたなと思うが、強制的な安全運転で彼の命を救ったからよかったことにしよう。

そして大学2年の夏、気持ちが海外に向く。どう考えても「水曜どうでしょう」の影響が前年の動きからもあるだろう。

大学の構内にとある張り紙が。それは夏休み期間を利用したアメリカとイギリスのホリデー留学という制度。3週間ほどの日程で70万くらいだったと記憶している。個人的にはアメリカへの憧れが強かったが、アメリカはすでに受付を締め切っていたのでイギリスに行くことにした。これがのちのちの人生の空白に大きな影響を与えることになる。

イギリスはもとより、海外に行くのも初めてでわからないことだらけ。説明会に参加してもピンとこない。とりあえず団体でオックスフォード大学のあるカレッジに寝泊まりして研修という名目でイギリスの魅力を存分に満喫するというものだと認識することにした。


旅行ガイドブックを3冊買ったり、好きなミュージシャンのポスターを友達から渡されて持って行ったりと謎な持ち物が多かったが基本的にスーツケースは最初と最後だけだったので苦労はなかった。初の国際線に緊張したのか、離陸前に鼻血を出すというおきまりのひ弱プレイで幕を開けた初海外。空港に着くと、現地で我々の面倒を見てくれるオーストラリア人の中年女性講師と、イギリスの大学生男女2名が出迎えてくれた。

ヒースローからオックスフォードに向かう貸切バスの中で彼らはろくすっぽ英語が話せない我々にヒアリングをした。イギリスの何に興味があるか、といったところだ。買い物をしたいと正直に言ってる人もいた気がするが、わたしはせっかくならリバプールアビーロードに行きたいと伝えた。イギリス人大学生バイトのクレイグは地元が大好きでリバプールが隣町らしい。場所がどこかも知らなかったので行けたらいいなあくらいに思っていたが、クレイグが先生にアピールしたらしく、留学中に男5人とクレイグでリバプールに行くというスペシャルプランを実現させることができた。その際、彼の実家に泊めてもらえたので、我々は白ワインと手紙を書いて両親と家族、その彼氏彼女に挨拶をしたのだった。カーペットに雑魚寝というレアな英国スタイルの夜はおじさんとおばさんがなぜか一緒に同じ掛け布団で寝るというフレンドリーな展開に。リバプールビートルズの足跡を辿ることもできたし、とてもよい経験になった。

そのほかにもロンドンに何度か行ったし、ミュージカルも観た。寝てしまった記憶しかない。多くの経験を胸に、涙を流して帰りの空港では先生たちとの別れを惜しんだものだ。

ちなみに翌年にはクレイグが日本に来てくれた。そしてその年だったと思うがマレーシア経由でイギリスに行ったときには、クレイグともう一人の学生バイトだったヘイリーに再会するのだった。そのときは無計画気味な一人旅だったが、ケンブリッジを拠点にイギリス国内いろいろなところに行った記憶がある。ロンドン、ケンブリッジ、ウィガン、マンチェスター、オックスフォード、ブライトンだっただろうか。

2004年、2005年とイギリスに渡り、1月近くは歩き回った。そして2007年だったか、ユーレイルパスとブリットレイルパスを駆使して、私はヨーロッパ周遊にでかける。何事にも言えることだが、「初めてのこと」の印象はずっと強く残るものでそれ以降の記憶は残ってはいるがまた少し思い出すと印象が変わる。

2007年はもう大学を卒業していたので、航空券が安い時期にバイトを長らく休むことにした。オランダ、ベルギールクセンブルク、ドイツを回ってからKLMでマンチェスターへ。そしてまたクレイグに世話になりつつ、ネッシーを探しに行くと豪語してインバネスへ。ネス湖ネッシーはいなかった。遊覧船の中で飲んだコーヒーが美味しかった。ガイドのじいさんは日本語がうまかった。アーカート城の城塞跡は物々しくも切なかった。湖水地方は何が楽しいのかわからなかったけど、日本人が偶然同じ観光バスに乗ったので久々に日本語を話した記憶。リバプールに再訪した際に電車でデジカメを無くし、ヨーロッパ旅行の記録がなくなるという悲劇。保険に入っていたのでお金で返ってきたのはデジカメ本体とSDカードの購入価格だった。

このデジカメロスト当時は悲しくて仕方なかったが、「また来よう」という気持ちになったのだった。

そのあとはいつだろう、2010年、2011年、2013年、2014年とイギリスとオランダによく行っている。一昨年はフランス、ベルギー、イギリス、フィンランドスウェーデンなど北欧にも行った(3月で氷点下)、昨年はスペインにも行った。

2011年はロシアで飛行機に乗り遅れるという珍事があるなど楽しいこともあった。

行くと毎回それなりに何かがある。実は目的があって向かうことが多いので、旅行好きとは違うのかもしれない。

そんなわけで次は2015年7月。もう何回目かわからないイギリスだが一向に英語は上手くならない。